久しぶりの更新になってしまいました。
今日は最近知った事の中から考えた「魅力的なまちとはどんなまちか」「まちは人へどうアプローチするべきか」について、私なりに書いてみたいと思います。



触れたことのないモノコトヒトが、

行ったことのないまちを魅力的だと思わせる

「まちづくり」と言うとばくっとしていますが、大学入学以来それにものすごく興味がありました。今はお仕事でもいろいろなまちを訪ねたり調べたり聞いたりと、いろいろな「まちづくり」に触れています。私自身まちを面白くする人やしくみを知ることがとても好きなのです。


そうやってたくさんのまちに触れて思うのは、
「いいところがないまちなどないし、悪いところがないまちもない」ということ。
ただ、伝える側が感受性や表現力を豊かに持っていない限り、
「同じように形容できるまちはものすごく多い」ということ。

ここでいう「まち」は都心ではなく、田舎をイメージしてもらうといいと思いますが、
例えば「緑が多く食が豊かで人々が温かい」とか、「主な産業は農業と観光業で、特産品は◯などの野菜。◯年にわたって続くまちの祭りは多くの人で賑わう」とか。
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ちなみにこれは私の地元で、ここも「緑が多く食が豊かで人々が温かい」です。笑

確かにそれらは本当に素晴らしいのだけれども、そのまちの魅力を伝える人が本当に本気で人に来てもらいたいと思えば、なにかもっと、他のまちと比べて圧倒的なものを伝えないとだめだと思うのです。
だって、大抵のまだ足を運んでいない人は、外から見える情報でそのまちのすべてを判断します。そこで面白そうなまちだと思われず「よくある田舎のまち」だなんて思われたら勿体ないではないですか。

面白いとか魅力的だと思うことって、ようは自分が今まで触れたことがないことなのだと思います。
「行ったことはないけれど、どこかで見たことや聞いたことのあるようなまち」にわざわざ行こうとは思いません。
自分が触れたことのないモノ・コト・ヒトがある、
あるいはそのモノやコトは知っていたとしても、触れたことのないほどの質や量がそこにはありそうだと思ってもらえないと、わざわざそこへ来てもらうのは結構ハードルが高いのですなあ。



Uターン就職フェアなんてしなくていいから、
住んだら面白そうなまちでいてほしい


そこにあるものをそのまま伝えたり、どこかにある魅力的なものを真似て作ったりしても、外から見たそのまちの面白さって対して変わらないのですよね(しかも逆効果な場合もある)。
じゃあどうしたらいいのかとなりますが、ユニークなコンテンツ化が必要なのだと思います。
例えばわかりやすいもので言えば、少し前に話題になった宮崎県小林市のこの動画とかでしょうか。

ストレートに「森が多くて水と星が綺麗」とうたったり、方言で地元の方が地元をPRするものならよくありますけども、そうでなく「小林市はあのフランス語みたいな方言のまちだ」と思わせるのはすごいなと。


思うに地元就職やUターンをすすめるやり方も同じようなことで、
ただ企業誘致をすればいいとか、インターンシップにやみくもに来てもらおうとしても根本的な解決にはなっていないと思います。
そんなことよりも、「うちのまちはこんなに面白い人がいてこんなに面白いことをやってるよ」と言われたほうが、断然ポジティブに、そのまちで働きたくなる。
だからこそMADCITYの千葉県松戸市やGO GOTSU!の島根県江津市は面白そうに見えるのかな、と思います。

面白そうな人がいるまちは、
例えその土地に愛着が全くなくても、ちょっとばかし住んでみたくなるものです。



元気なまちは地元の人が地元のことを愛している


少し前に宮崎県の高千穂郷へ行きまして、そこでこの言葉を聞いて、本当にそうだなって思いました。
例えば「自分が農業をすることが、このまちの棚田のある美しい景色をつくっているのだ」という自負であるとか。
仕事に対する誇り、まちに対する誇りや愛を持っている人と出会うと、外から来た自分が感じたそのまちの素晴らしさを、さらに何倍にも感じるわけです。

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そういった、まちに対する市民の誇り・シビックプライドを持つ人。
加えて、そのまちの外にいながら、そのまちを好んで応援し行動を起こすような人。
この2種類の人を増やすことがまちにとっては重要であり、
それを増やすきっかけになるものこそが、今までになかった「圧倒的なコンテンツ」だったりするんだと思います。



最後に

「地元の人が地元に誇りを持つ」というのは結構難しいことなのかもしれません。
私の地元は結構田舎ですが、外側から見た人がいくら「スローライフだ、素敵だ」とか「不便さも楽しめそう」とか言っても、「いやいやいっぺん住んでみい」というのが本音だったりします。笑
無意識に田舎コンプレックスや農業コンプレックスなんかを持ってたりしますし、なんだかんだ言って都会に憧れたりします。

「住みたいまち」「いいまち」の基準が人それぞれ違うように、結局は相性の問題だったりもするわけで。
ただ、そこに仕方なく住んでいる人やなんとなく住んでいる人でも、そのまちを愛するきっかけのようなものができれば、まちはもっと楽しくなるのではないかなと思います。
外から評価を押し付けるのではなくてですね。

そんなことができるようなお仕事をしていきたいな、と思う天野でした。




▽今日のおすすめ
シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする
シビックプライドとは、「都市に対する市民の誇り」のことだ。単なる「まち自慢」ではなく、「ここをより良い場所にするために自分自身がかかわっている、というある種の当事者意識に基づく自負心」だと言える。
シビックプライドは、他ではない「この場所」に対する誇りだから、都市のアイデンティティと密接に結びつく。
この本の一番はじめに載っている、シビックプライドを共有するための都市と市民との接点「コミュニケーションポイント」が、非常に美しく整理されていて感動しました。
シビックプライド2では国内編の事例を取り上げています。
こちらはもう少しとっつきやすくて、
「まちの良さってどうやって見つければいいの?」とか、「プロジェクトはどう始めればいいの?」「ゆるキャラじゃだめなの?」などというQ&A方式っぽい章もあってわかりやすいです。ぜひに。